母の中の悪魔

私はしばらく母とは距離を置くと決め、父に躁病の簡単な説明と「なるべく刺激しないように離れて」というアドバイスをメールで送った。幸い、父はすでに家庭内別居のような生活をしているらしく「なるべく顔も合わせないようにしているので安心してください」とのこと。

 

そうなると、なぜ先日母は「たすけてー」というボイスメールを送ってきたのか。私はてっきりまた、父が母に向かって「頭がおかしい」と言い続けて母がブチ切れたんだろうと思っていたのだけれど、そもそも顔を合わせていないようだし、口論していた様子もなさそうだ。

 

となると、これはやっぱり「こちらを混乱させるための罠」に思えてならない。「Sさんが私の義母に電話しようとしている」のも「母が今危険な目に遭っていることを匂わせるSOS」も、どれもこれも私が慌てて母に連絡することを想定して練られた嘘なのではないかという気がする。

 

人に迷惑をかけることも嘘をつくことも平気になってしまった母。父は母が躁病ではなく「元来の性格が出てきただけだ!ただの性悪だ!」と言い続けていたけれど、本当にそんな風に思えてしまうほど、母は「相手が一番嫌がる行為・発言」をピンポイントに突いてくる。

 

私はもう母からのボイスメールも何もかも開かないようにしようと決めた。心がかき乱されるだけで、何の役にも立たないガラクタに向き合う必要はない。

 

今朝、携帯を見るとまた母からのボイスメールが入っていた。いつもボイスメールを送ってくるのは夕方以降なので、今回こそは何かまともな言葉が聞けるかもしれないと一応聞いてみることにした。

 

そこには「お父さんと連絡がとられへんねんけど~まあ、大丈夫やろうけど~」という相変わらずふわふわした内容のボイスメールが入っていた。私は父が今日一人でドライブに出かけることを知っていたのだけれど、母には何も言わずに出て行ったのか、もしくはまた母が忘れているか・・・・・

 

だけど、これもまた母が「お父さんがいなくなった!」と私を慌てさせる罠のようにも思える。「お父さんがいなくなったので探してほしい」という感じでは全然無くて、電話相手の不安を煽るだけ煽ってみたという感じの物言いだった。

 

私は「忙しいのでまた」とメールして済ませた。それからは何の反応もなく、珍しく夜になるとかかってくる電話やメールや留守電の類もこの日は全くかかってこなかった。