感情を喰う病

躁病の治療には「カウンセリング」というものはなく「投薬」でしか症状は改善されない・・・・という事を知り、私が「せめて母の支離滅裂な話を聞いてあげることでストレスが減り症状が緩和されるかも」と思っていたことが全くの無駄足だったことがわかった。そして話せば話すほど母は自己中心的になり、自分の話に興奮していることが見えてきた。

 

そして何よりの発見は「この病は相手の感情を吸い取って、自分の病の養分にしてしまう」という事。父や私が母に反論したり怒りを見せると、それに呼応するように母も「私が世界一かわいそうなヒロイン病」を発動しはじめる。鏡のように全く同じテンションで。

 

私が母との会話に疲れてしまい「傑作やな、ハハハ!」とヤケクソで笑うと、その笑いは母へのあからさまな皮肉であるにも関わらず「もっと笑って!」と言い出した。「あんたが楽しそうやと、うちも嬉しいわ!」

 

これで母を説得するのは不可能だということがよくわかった。こちら側が疲弊するだけで何の解決にもならない。とにかく母が喜ぶエサ(=感情)を与えてはならない。

 

私はしばらく母とは会話しない事に決め、今日はメールも送らないでおこうと思っていた。だがいつもの私からのメールが来ないのを不審に思ったのか母から電話とメールが送られてきた。(電話の方は出なかった)

 

メールの内容は「いきてるよ」と。ここで興奮させてはいけないので私もなるべく短い言葉で・・・・と熟考して「わかりました。」と返信する。すると母からは「これで、ええんよ(と絵文字、意味がわからないけれど多分『お願い』みたいなやつ)」という返信が。

 

私の「わかりました。」というメールを、母は「病院になんか行かずに面白おかしく過ごしている私を認めてくれたんだ!よかった!」と曲解したのではないかと思った。

 

こんな短いメールをよくもまあ自分に都合よく解釈できるもんだ!と思わずカッとなり電話しそうになったけれど(何度もメールを書いては送信寸前で破棄した)グッとこらえた。

 

母は夕方の6時頃から8時頃になるとおかしな電話やメールを送ってくる。母は普段どうやら9時くらいに就寝しているようなので、その頃になると常用している導眠剤の影響なのか、余計にタガが外れたようになってしまう。

 

今日は9時頃に携帯に着信があり、それが1分おきに3本。しかもすべてボイスメール付き。嫌な予感しかない。

 

仕方なく聴いてみると、そのどれも「もうこの家には居られない、たすけてー」という母の声が入っていた。妙なのは、そんな内容なのに母が「小声」だったこと。父に聞こえないように配慮していたのかもしれないが、感情的になっている人がそんな事まで考えるだろうか?

 

私の勘では、これは「狂言」だ。父から実際に叱られたのかもしれないが、それにしては声に感情がこもっていない。私がメールも電話もしないことに腹を立てている?

 

先日、私と母が大喧嘩したのもこれが原因だった。私はその時点でもう「母とはしばらく距離を置く」と決め、適当に「今日は疲れたので電話しません」という内容のメールを送った。

 

すると母から「了解よ!ところでSさんがアンタの旦那のお母さんと話がしたいって言うんよ。電話するかも。」というメールを返してきた。

 

Sさんとは、この日記にも以前書いたけれど母と懇意だったご近所の女性で、パーキンソン病から認知症を発症してしまったのだけれど、母とは相変わらず付き合いがあるようだった。認知症なのでお金や衣類に執着があって、それを近所で無心しているようだと以前から聞いていた。

 

そんなSさんが私の義母に電話したい理由なんてお金しかないだろう。ほぼ他人の(しかも認知症の)Sさんから電話なんてかかってきたら義母に迷惑をかけてしまう。

 

それで慌てて母に電話すると「なんか知らんけど会いたい、会いたい、言うてるからしまいには会いに行くかもしらんね~」と私が激昂する要素しかない言葉を返してきたので、私もそこでブチ切れた。

 

よく考えてみたらSさんはパーキンソン病なのでそもそも出歩くこと自体が困難だし、電話番号だって教えたところでそもそもかけられない(指が震えるので、登録してある番号しか電話できない)だろう。

 

ではなぜこんな話を突然母が振ってきたのか?と考えてみると、これは母の策略だったのではないかという気がする。私が「義母に迷惑がかかる!」と慌てて母に電話してくるのを計算していたのではないだろうか。

 

もうここまでくると「病気」というより「悪魔の仕業」ではないかとつい思ってしまう。躁病がこんなに恐ろしい病気だったとはまるで知らなかった。鬱よりも遥かに家族を疲弊させる。